CISPR 11 要約:ISM機器のエミッション

産業・科学・医療(ISM)機器を対象とする CISPR 11(EN 55011)の適用範囲、グループ1/2とクラスA/Bの分類、測定方法、CISPR 32 との違いをまとめています。

最終更新: 2026-10-10

このページは独自にまとめた参考用の要約です。公開資料によって限度値が食い違うため、限度値の表は掲載していません。認証や試験報告書に使う限度値と手順は、必ず公式文書(IEC ウェブストアなど)の最新版と改訂で確認してください。

概要

  • 対象:産業・科学・医療(ISM)用途の高周波機器から出る電磁エミッション。伝導エミッション(150 kHz–30 MHz)と放射エミッション(最大 1 GHz、一部のマイクロ波機器は 1–18 GHz)を扱います。
  • 欧州では EN 55011、韓国では KN 11 に相当します。
  • マルチメディア・情報技術機器は CISPR 32、ISM 機器は CISPR 11 の対象です。どちらに該当するかは製品群規格で確認してください。
  • 代表例は、電源やモータドライブ、LED 照明、医療機器、産業用高周波加熱装置、電子レンジなどです。

グループ1とグループ2

グループ定義例
グループ1自機器の内部機能のためだけに高周波エネルギーを使う ISM 機器電源装置、モータドライブ、測定・制御機器
グループ2材料の処理など外部での利用のために高周波エネルギーを意図的に発生させる ISM 機器高周波加熱装置、プラズマ装置、電子レンジ、電気メス

グループ2の機器は本来的に高周波を放射するため、ISM 指定周波数帯には別の限度値が定められています。指定帯域は規格本文の該当箇条で確認してください。

クラスAとクラスB

クラス使用環境
クラスA住宅用の建物を除くすべての施設
クラスB家庭環境

クラスBのほうが限度値が厳しくなります。用途が不明確な場合は、クラスBを目標に設計するチームが多くあります。

測定方法のポイント

  • 電源ポートの伝導エミッションは、50 Ω/50 µH の疑似電源回路網(V-network、LISN)で測定し、準尖頭値(QP)と平均値(AV)の両方の検波器を使います。受信機は CISPR 16-1 の要求を満たす必要があります。
  • 30 MHz から 1000 MHz の放射エミッションは、アンテナを高さ 1–4 m で昇降させ、水平・垂直の両偏波で測定します。30 MHz 以下の磁界にはループアンテナを使います。
  • 測定距離は機器の種類によって異なります。試験場では、グループ1とクラスBは通常 10 m、グループ2のクラスAは 30 m が基本で、条件を満たせばより近い距離(3–10 m)も認められます。
  • 直径 1.2 m、高さ 1.5 m の試験体積に収まる小型機器は 3 m で試験でき、その場合の限度値は 10 m の値から距離に反比例して換算します(第5版 Amendment 1)。
  • クラスAの機器は試験場でも設置現場(in situ)でも試験できますが、クラスBの機器は試験所で試験します。

距離換算の参考

規格が認める距離換算は、距離に反比例(20·log₁₀(d₁/d₂) dB)です。10 m から 3 m にすると限度値は +10.46 dB になりますが、正確な値は規格の表に従ってください。換算は「試験距離の換算」計算ツールで確認できます。

CISPR 32 との比較

項目CISPR 32CISPR 11
対象マルチメディア・情報技術機器ISM 高周波機器
分類クラスA / クラスBグループ1・2 × クラスA・B
伝導エミッションの範囲150 kHz–30 MHz150 kHz–30 MHz
放射エミッションの範囲30 MHz–6 GHz30 MHz–1 GHz(一部 1–18 GHz)

公式情報源

  • 最新版は IEC ウェブストア(https://webstore.iec.ch)で確認してください。改訂の歴史が長いため、版によって限度値や距離の規定が異なります。

関連する計算ツール

規格要約

計算結果と要約は参考情報です。認証や試験成績書には、最新の規格原文と校正済み機器の値を使用してください。